ぶらっと函館⑤

五稜郭を出て、次は立待岬へ市電で向かいました。

市電の走っている道路の走り方を車の教習所で習ったけど、今は全然覚えてないなぁ。私には函館を車で移動すことはできないなぁなどと考えながら市電に揺られること30分(結構揺れるんです)、目的地の「谷次頭」に到着。終点だったのですが、降りたらなんかあんまり人気もなく寂しそうな雰囲気。五稜郭では射していた日も厚い雲に覆われ、雪が降り始めていました。

立待岬まで歩いて15分と言ったら、子供たちは途端にげんなりした顔をしだし、普段はアグレッシブな主人まで「まぁ、引き返そうか。」なんて言い始めたけど、なんとなくこの日の私ははりきっちゃっていて、「せっかくここまで来たんだから行こう!」と他の家族の尻をたたいて雪の中を歩き始めました。

強がりかもしれないけど、北海道なのだから雪の中寒い寒いと言って歩くのもまたいい思い出となるような気がしたんです。

半分くらい歩いたところで、車両通行止めのため道が門で封鎖されていました。一瞬「あれ冬は行けないのかな。」と不安になったけど、門の横をすりぬければ人は通っていいようで、かろうじて道らしきものもあるし、そのまま行くことに。すると、両脇がお墓で囲まれていた。そう、墓地の中を通りぬけていかないといけないんですね。

人もだーれもいないし、なんか寂しくなってきた。一応「石川啄木一族の墓」とかもあり、観光名所にはなってるようだけど、なんとなく歩いてはいけないところを歩いてしまってるんじゃないかという気持ちになってきた。足の先も、手の先も寒さで痛くて子供たちはさぞかし怒ってることだろう…と思って振り向くと、まぁ、少しテンションは低いものの、二人で雪投げしたりして遊びながらそれなりに楽しそうに歩いてて、ほっ。

すると、ようやく一組のご夫婦がむこうから歩いてきてみえて「向こうに着くと暖かいよー。」と子供たちに励ましの言葉をかけてくださった。

そのご夫婦が仰った通り、今まで函館山で陰っていたのが、岬では日が当たっていて、明るいし、暖かいし、景色は素晴らしいし!!他に人はいないからやっぱりさびしい雰囲気ではありましたが、壮大な岸壁と大きく広がる海原、遠くにはやはり津軽海峡や大間海岸が見えて、とてもいい気持ちでした。

立待岬」って名前がなんか帰ってこない恋人を立って待ってるかのような、ロマンチックな響きだなぁと思ってたのですが、現地の案内看板を読んでたら、昔アイヌ人が魚を待っていたことからつけられた名前と書かれていて、ちょっとしょんぼり。待ってたのは魚かぁ…。

ひとしきり写真も撮ったし、さぁ帰ろうと思ったら長女が背中にはっておいたホッカイロがなくなってる!と騒ぎ出した。そんなものこの雪の中見つけられんわいということで、見捨てられました。春になったらホッカイロのごみが立待岬を汚してしまうことをここでお詫びいたします。(続く)