国勢調査の思い出②

国勢調査の調査表をなかなか手渡せず、凹んでいた頃、夜9時過ぎに女一人で訪問するのは危険なので主人についてきてもらった。(区役所には付き添い人として主人を登録してありました。)
ピンポーンと数回チャイムを鳴らし、出てこないとあっさり諦め、肩を落として次の家に行こうとする私に、横でみていた主人は「えー、もう諦めちゃうの。電気点いてるんだし、在宅なのだろうから、もう少しねばらなきゃ。」と言って、ドアをノックし「すみません、国勢調査の御協力お願いできませんでしょうか?」と声をかけ始めた。
ぎゃー、なんということをするんだと焦った私は、主人の服をひっぱりながら、「居留守を使うってことは、迷惑に思ってるんだから、あんまりしつこくすると、怒られちゃうよ!」小声で止めに入った。
その時は「え、でも…。」と言いながら、やめた主人だが、行く家、行く家で居留守をつかわれ、一向に面会できない私に「ねぇ、これでお金貰ってるんでしょ?だったら、やっぱりきちんと渡すように努力しなきゃだめだよ。」と怒って、またドアをノックし始めた。
結果的に、みんな出てきてくれた。「新聞の勧誘だと思ったので、回収の時もできたら国勢調査員だと名乗ってくれ。」と言われる方も。怒ってくる人は誰もいなかった。そりゃ、迷惑そうな人は何人かいたけど、その気持ちは私にも分かるし。
次の日からは、私も同じようにやってみた。なかなか、出てきてくれなかった人も、数回訪問を続けると出てきてくれた。

次第に、慣れてきて、夜の訪問も一人で行くようになった。
ある日、やはり夜9時ごろ、前日居留守をつかわれた家を訪問したら留守だった。帰ろうと思ったら偶然その家人が帰ってきて、向こうにしてみれば運悪く、私にしてみれば運良く面会できた。実際に顔を会わせてしまえば、不思議と丁寧に対応してくださり達成感で、うきうきアパートの階段を降りていったら、ぬぼーっと立ってる一人の男性が!
一瞬びびって「ひゃっ!」と声をあげたら、主人だった。帰宅途中、私が何軒か回ってるのを見かけ、ちゃんとやってるか見張っていたようだ。
なんか、子ども扱いされてるみたいで、少しむっとしたけど、多分心配してくれてたんだろうなぁとも思って、ほろりとしたりしなかったり。

たった数週間のお仕事だったけど、実は随分主人に助けられました。多分、一人だったらここまで回収できなかったんじゃないかと思います、情けない話ですが。
おありがとうございます、とここでだけ感謝の言葉を言っておこうっと。(ちゃんと言いなさい。)