大阪珍道中⑭

大丸の前で地図をひろげ、焦っている私たちに「どこお探しですか〜?」とやさしい関西弁のアクセントで尋ねてくれる声が。自転車に乗った女性だった。
「あ、よしもとに行きたいんですけど・・。」
「それなら、ここまっすぐ行って郵便ポストのあるところを左に入ってまっすぐ行けばいいですよ。」と教えてくださった。
いい人だ。ほろり。お礼を言って早速教えられたとおりに歩いた。
次女は困っている私たちを見かけただけで、こちらから尋ねたわけでもないのに本当に気さくに声をかけてくださったその女性の親切にいたく感動していた。
「いい人だったねぇ。大阪の人は優しいねぇ。」と言いながら小走りで私の後ろをついてきた。
おかげさまで、無事によしもとにたどり着き娘は心置きなくお土産を買い足していた。
その間、私は近くにあるとガイドブックに載っていた「大阪で(世界でだったかな?)一番美味しいたこ焼きや」を探しに言った。帰りは近鉄の中で美味しいたこ焼きを食べようという計画だ。行きの苦い失敗を教訓に、今度こそ美味しい物を食べながら電車の旅を楽しみたかった。
細い路地にある一軒の屋台がそうらしい。
「よしもと」で買い物をしている次女を迎えに行き、会計を済ませ急いでたこ焼きやの屋台へ。
11時の近鉄に乗るのに少し時間が押していた。屋台の前にはまだ2人しか待ってない。それほど時間はかからないと思い列に並んだ。
おじさんがぶっきらぼうにたこ焼きを焼いている。「(お客さんはたこ焼き)いくつ?」とぶっきらぼうに聞かれ、「8・・・んー、12個」と答えた。
前の人の分が焼け、皿にたこ焼きを載せ始めるおじさん。あれ・・・、あれれ・・・?私の分が足りない!8個にしておけばその場でもらえたのに、12個にしたがために新たに焼き始めた列のたこ焼きが焼きあがるのを待つ事に。やばい!電車の時間に間に合うか微妙になってきた。
暑かろうからと、日傘をぶっきらぼうに貸してくれるおっちゃん。親切だ。でも、私は焦りからひきつった笑いしか返せない。11時の電車を乗り過ごすと30分後の電車になり、しかも到着時刻は1時間遅くなる。
香取信吾君が訪れたらしい時の写真が飾ってあるのを、ただ呆然と見つめ娘とひたすら一分でも早くたこ焼きが焼きあがるのを待った。
続く。