ブラスの思い出⑥

8月の頭の座奏の大会が終わり、いよいよマーチングの練習が始まった。

次女はマーチングリーダーといってマーチングの動きを表すコンテを書く係りだったので、7月から他のマーリー3人と一緒にこつこつコンテを書いていたのだが、出来上がったコンテを顧問の先生に見せたら、だめだしに次ぐだめだしで全部書き直すことになった。

ブラス唯一の夏休みお盆の間中4人はそれぞれの家を提供しあい、毎日コンテを書くことに。

親としてみれば、やっと受験勉強をできる時間ができたのに・・・と心中穏やかではないが、コンテがその年の演技の評価を左右するほど大事なことはわかってるので「適当に済ませなさい」とは口が裂けても言えない。

音楽を聴きながら動きを考えて、約80人の部員を数字に置き換えて、全員の動きを決め、コンテを書く。

時々気がつくと一人二人いなくなってるらしい(笑)。

この子たちがこんな大変な思いをしてコンテを書いてることをどれほどの部員が理解してくれてるのかわからないけど、ほんと大変そうだった。

でも、4人の団結力はすごくて次女も辛いというよりはやりがいを感じてるようでした。我が家でやってる時は時折楽しそうな笑い声も聞こえて微笑ましかったし。

そんな風に書きあげた今年のコンテは、その後先生の手直しが入ることはほとんどなく、全国大会まで使ってもらえた。

全国の舞台で自分たちの書いたコンテで演奏演技ができたことは本当に一生の思い出になるんじゃないかなぁ。

練習中はいろいろ部員からも文句も出たらしいけど、最終的にはたくさんのメンバーから「今年のコンテ好きだったよ」と言われたそうだし、私もたくさんのお母さん方からの「今年のコンテはよかったね」という言葉を耳にして、嬉しかったです。

あと、マーリーの大事なお仕事のもう一つに「練習をしきる」という大仕事があった。

中学入ってからは人前にでることを避け始めた次女だったので(しゃしゃって前に出ると苦労が尽きないことを覚えてしまった)多分かなり不得意な仕事だったと思う。

私自身は次女が100人もの部員の前で指導してることを知らずにいて、ある日スポーツセンターの練習を見学に行った時に初めて、わが子がみんなの前で脚立に座って、メガホンを持ち、木魚みたいなリズムを取るやつをたたいて、みんなに指示を出してるのを見て、すっごく驚いた。

こんな子が曲者揃いのメンバーに偉そうに指示をして、大丈夫なんだろうか、とものすごく焦ったけど、みんないい作品に仕上げたい気持ちは同じだから、無意味な反抗はまったくせず素直に「はい!!」と声を出して反応してくれてた。(同じ3年生も)これには感涙。あぁ、次女はみんなに支えてもらって、がんばれてるんだなぁと痛感。

あと拙い練習運びで横で見てる先生が「おーい、最後まで終わらないぞー」と声をかけられるんだけど、でも決して途中でやめさせて先生自身が指導を代わることなく、もどかしい中でも最後まで子供たちに任せてくださったH先生は本当に教育者なんだなぁと感謝しました。

それでも、次女はマーリーとして自信を持つにはなかなか至らなかったようで、結構最後まで指導の仕事をした日は(毎回次女がやったのではなく他のマーリーと交代でたってた)「あんなんでよかったんだろうか」とかなり疲れて帰ってきてたけど。

自信がなくて思わず涙をこぼした時は、部長のAちゃんが代わってくれたこともあったなぁ。同じペット仲間のAちゃんとはぶつかることも多かったんだけど、こんな風に困ってる時はさっと助けてくれる本当に頼りになる部長さんでした。

このように、マーリーいう仕事は次女を大きく成長させてくれたのでした。