『友情』を読んで

ここ数日武者小路実篤の『友情』を読んでいました。
最初は古臭く青臭い恋愛観や男のくせに女々しく恋する主人公に少し抵抗があって、まぁ、でも一応世間では評価されてるのだから何か得るものもあるだろう、くらいの気持ちで読んでいました。

「共感」ができなかった。でも、これは私が歳を取ったことと(実際呼んでいる時『あぁ、若い頃はこんな風に感じたっけ…。』と懐かしく思う事もしばしばあった)、時代の違いによるもののような気がします。そして、本当は共感できるような人間になるべきなんじゃないかとも思いました。共感できない自分が何となく恥ずかしく感じてしまったのです。

うーん、なんと言っていいのか分からないのですが、自分が良く言えば大人になった、でも悪く言えば図太く,図々しく、汚くなったなぁと感じてしまったからです。
最近の風潮としてどこかシニカルな物(笑いやドラマなどで)の方が、うそ臭くなく、受け入れられるような気がしていたのですが、たとえ綺麗事だったとしても、やっぱり人間こうあるべきだという思いは捨てずに持ってなくてはならないんじゃないかと感じたのです。

私だって、子供の頃はとても傷つきやすい子供だった。でも、それがしんどくて、少しずつ諦めたり,開き直ったりして楽に生きていけるような考え方をするようになった。したたかさも時には大事だとすら思えて、純粋なだけで、要領の悪い人には頼りなさを感じたりもしてました。でも、それはあくまでも生きて行く上での処世術であって、真実ではないんだろうなぁ。人間の本当の力をもっと信じるべきなのかも。

普段,自分は偉そうに人に語ったり、特に子供には諭したりするのだけど、それが本当に正しかったのかな・・と見つめなおすきっかけになた小説でした。

いつまで続くか分からないけど、せっかく出会って読んだこの本で感じた事を忘れずにいたいなぁ。